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PROJECT STORY IKKのチャレンジ

PROJECT STORY 04 業界初 ISO22000取得 -日本一、安全・安心な料理を。 業界初のチャレンジ。- PROJECT STORY 04 業界初 ISO22000取得 -日本一、安全・安心な料理を。 業界初のチャレンジ。-
2009年、食品安全マネジメントシステムの国際規格「ISO22000」を取得したアイ・ケイ・ケイ福岡支店。
ホテル・婚礼業界で国内初となる快挙を成し遂げた。
「働くスタッフ全員の意識が変わらなければ取得できなかった」と話す調理部長の松本。
ISO22000の取得を目指した理由は何なのか。
また、どのような苦労があったのか。取得プロジェクトのメンバーとして活躍した2人に話を聞いた。
KEY PERSONS
松本 正紀
松本 正紀 常務取締役 管理担当兼調理担当
松本 正紀 常務取締役 管理担当兼調理担当
1987年アイ・ケイ・ケイの前身であるホテルへ入社。伊万里時代には料理人として和食を担当、2000年の鳥栖支店オープンを機に、調理の責任者として全国を飛び回る。現在、取締役調理部長として管理者の立場ながら、現場の若手料理人に、新しい料理や評判のお店、お客さまのニーズなどの情報を投げかけ育成に力を注ぐ。「技術を磨くよりも人間性を磨くこと」の大切さを伝え続けている。
森永 章裕
森永 章裕 調理長
森永 章裕 調理長
ホテルのレストランで和食の料理人を経験後、2008年アイ・ケイ・ケイへ中途入社。日本料理の料理人として現場で働きながら、リーダーを2年ほど経験の後、現在のチーフリーダーに。アイ・ケイ・ケイに入社した時には、会社の理念が浸透していて、全スタッフが実践できていることに驚く。「衛生管理の徹底はどこにも負けない」と、静かな眼差しの奥に情熱を燃やす。求める人財は「向上心のある人」。
CHAPTER 01 確実な「安全」のために、国際レベルの基準が必要だった。 CHAPTER 01 確実な「安全」のために、国際レベルの基準が必要だった。

ISO22000認証取得に向けたプロジェクトの誕生は、社命ではなく、調理部からの提案によるものだったという。

「ホテル業界や婚礼業界でどこも取得できていなかったISO。当社でも不可能だと思っていた」

調理部長の松本は経緯を振り返る。

審査費用やコンサルティング料を含め、認証取得時に約500万円の費用を要するボトムアップ提案を、調理部はどのように会社に説得し立ち上げていったのか。

「きっかけは代表の金子の一言でした。『お客さまのために、調理部が何よりも大切にしなければならないことは何だと思いますか?』。2000年の鳥栖支店オープンの時にそう質問されたんです」

40代半ば、料理人として厨房で腕を振るっていた松本は、迷わず「美味しい料理を作ること」と答えた。だが、金子の答えはNOだった。

「『違います。安全・安心ですよ』と。私のなかでは、安全や安心は当然のことだと考えていたんです。しかしそれでは、隙や慢心が生まれる。わずかな気の緩みが重大な事故を起こしかねない。金子はそれを指摘したのだと思います」

松本は即日、「安全・安心」を最優先とした調理部の優先順位を厨房に掲出した。アイ・ケイ・ケイの「安全・安心」とは何かを、スタッフとともに考え、日々の業務を改善していく。
そして、2002年の福岡支店オープンの際、松本はISO22000という国際規格の存在を知る。
食品衛生管理方式「HACCP(ハサップ)」と、品質管理の国際規格「ISO9001」を組み合わせた「ISO22000」。食材の調達や調理温度の管理など、食品の安全管理と品質管理を兼ね備えたシステムだ。

CHAPTER 01 CHAPTER 01 確実な「安全」のために、国際レベルの基準が必要だった。

「食品工場などと比べ、日々、違った料理を作る厨房では安全管理が容易ではありません。ですが、金子が調理部に求めた『安全・安心』をより徹底するための何かが必要だと考えていました。ISO22000の内容を調べていくうち、取得の可能性が見えてきたのです」

ISO22000を取得したいと金子に直談判する松本。初期費用だけで約500万円。そのコストを掛けてまで取得する必要性や得られる成果、取得までの具体的なステップを金子に提案していく。

「アイ・ケイ・ケイが全国展開するにあたって、私が全ての現場を監視することはできません。ISO22000の国際的な規格に基づいて調理部を一定の基準によって、より厳しく監視する必要があるのではないでしょうか」

取得に向け、厨房スタッフをはじめ厨房に出入りするコンシェルジュも含めた全員が一丸となって改革に取り組むことを約束する松本。

「やりましょう。『安全・安心』のために必ず取得してください」

金子は即決した。安全・安心管理の責任者としての思い、会社の発展・永続を見据えた松本の思いは、金子の心を動かしたのだ。

CHAPTER 02 1年間の準備期間、全スタッフが一つにまとまった。 CHAPTER 02 1年間の準備期間、全スタッフが一つにまとまった。

実は、金子へISO22000の取得を提案するまでの1年間、松本は厨房で疑似的なテストを行ってきた。

「彼らがテストをクリアできなければ、取得は不可能だと考えていました。会社への提案もしなかったでしょうね」

テストの内容は、ISO22000に準拠した「衛生標準作業手順書」とチェックシートを作成し、手順通り作業が行われているかを確認、記録すること。手洗いや食品の取扱いなど、厨房スタッフからパート、アルバイトまで誰もが守らなければならない項目が並んでいる。

CHAPTER 02 1年間の準備期間、全スタッフが一つにまとまった。

「テストには全員が賛同し協力してくれたんですが、これまで口頭では確認しても、記録する習慣のなかったベテランのシェフや料理長には無理かもしれない。できるかどうか半信半疑だったんです」

「技術は盗むもの」といった考え方の残る、“経験がモノを言う”料理の世界。松本自身も20年近く料理人を経験しているだけに、慣習を変える難しさは痛感していた。

「時には料理長をみんなの前で注意したこともあります。この一年間が、最も苦労したかもしれません」

辛抱強く、地道に指導を続けた結果、1年後には、ベテランスタッフ、若手スタッフ全員が、習慣としてしっかり身につけていた。
ISO22000認証取得プロジェクトの開始が正式に決まり、「このプロジェクトを、みんなで絶対に成し遂げよう!」と松本が呼びかけた時、すでに全スタッフの気持ちは一つにまとまっていた。

食品安全チーム結成の際、松本はベテラン社員をあえて入れず、入社5年以内の社員でメンバーを固めた。慣習に捉われていないこと、また、若手スタッフに思い切って任せたいという思いもあった。

「厨房を清潔に保つ、包丁やまな板に汚れを残さないなど、ISOの衛生管理基準は、料理人として基本中の基本。原点なのです。それらを怠っていたらいい料理はできません。これからのアイ・ケイ・ケイを支えていく人財に、料理の安全・安心、そして品質を受け継いでいってほしいのです」

CHAPTER 03 「お客さまの感動のために」。プロジェクトを後押しした経営理念。 CHAPTER 03 「お客さまの感動のために」。プロジェクトを後押しした経営理念。

「プロジェクトが始動し、安全・安心をさらに突き詰めていくなかで、それまでの慣習や経験に頼ってばかりではいけない。そのことを学びました」

そう話すのは、ISO22000認証取得のためのマニュアル作成に貢献した森永だ。食品安全チーム結成当時、料理人として10年のキャリアがあったが、ISOなどの衛生管理や品質管理の知識は皆無だった。

「ISO22000の要求事項を文書化するなかで、使用されている言葉が非常に難しくて。書籍やネットで調べながら、一つひとつ理解しながらやっていきました」

難解な専門用語を深夜まで調べたり、不慣れだったパソコンを操作したりと苦労は多かった。これまで経験や感覚を重視してきた料理を、「ここまで細かく明文化するのか」といった驚きもあった。しかし、料理を提供する流れの中で、どこに危険が潜んでいるのかを明らかにし対処するためには、明文化が欠かせないことを実感していく。

「例えば、鯛の刺身用の切身は、氷水で洗浄・殺菌します。従来の考えだと、味を落としかねないと避けることなのですが、しっかりと定めた調理法を守れば、美味しさはキープできます」

ISO22000に則した手間のかかる調理法に、抵抗を感じるスタッフもいた。森永は、アイ・ケイ・ケイの理念である「お客さまの感動」のために、料理においては安全・安心が何よりも根底にあることを真摯に伝え続けた。

「生半可な思い、中途半端な理解や知識ではスタッフに伝わらないので、必死で勉強しました。また、お客さまに喜んでいただくためには、安全・安心でなければならないことを私自身が理解し、スタッフと共有できなければ、納得などしてもらえません」

ISO22000の要求に則りながら、マニュアルをはじめ、40シートにものぼるチェック書類を作成していく森永。コンサルティング企業からの指導やアドバイスを受けながら、一つひとつ悩み、考えて作成したことで、単なるお仕着せではないアイ・ケイ・ケイ独自の安全・安心基準が完成した。

「お客さまの感動のために」の理念を根底にしたオリジナルな基準だからこそ、深く、迅速に浸透していった。 そして、1年後。ISO認証取得プロジェクトスタート時に掲げた「1年後取得」の目標は、見事に達成された。

「厨房スタッフはもちろん、厨房に出入りするコンシェルジュの貢献も大きかったですね。厨房内に立ち入り禁止エリアを定めたことで、コンシェルジュには動線を変えてもらうなど、色々と改善に協力してもらいました」

チームメンバーやスタッフをリードしてまとめていく中で、自ずとマネジメント力を身につけていった森永。取得当時を思い出して微笑む。

「料理人がこんなこともするの!?と感じながらも、貴重な経験ができました。アイ・ケイ・ケイに入社していなければ、今も料理人としての仕事しかしていなかったでしょうね」

CHAPTER 03 「お客さまの感動のために」。プロジェクトを後押しした経営理念。

CHAPTER 04 これからが真のスタート。ISO取得が目的ではない。 CHAPTER 04 これからが真のスタート。ISO取得が目的ではない。

ISO取得後の変化について、森永が嬉しそうに話す。

「ISO22000を取得して、まず厨房がきれいになりました。食品衛生検査に来られる保険所の方が『他の飲食店の模範にしたいほど美しい』とおっしゃいます」

見た目の変化だけでなく、スタッフの意識も大きく変わった。月に一度、スタッフに対し行っているISO勉強会での積極的な姿勢にも目を見張るものがある。保険所主催の講習会では、質問内容にしっかりと受け答えする様子に、講師も驚きの声を上げるという。

「どのような検査をやっているのかを知りたい、勉強してみたいと保険所の方から質問を受けたスタッフもいるんですよ」

松本も頷きながらこう続ける。「ISO22000の取得やマニュアル作成が目的ではない」。パート、アルバイトを含めた厨房に入る全ての社員の衛生管理の徹底、意識向上を目指しているのだ。

「スタッフの意識向上を思えば、申請時に500万円、更新時に150万円かかる費用は、私は高いとは思いません。」

トレーサビリティが明確な食材だけを取扱い、取引業者の安全管理も必ず確認することなど、ISO22000の規格で要求されていることはもちろん、『やったほうが望ましい』との推奨レベルの要求も、アイ・ケイ・ケイにとって必要であれば積極的に採用している。

森永が説明する。

「年間500万円の費用をかけて、外部の検査機関に食品検査、菌検査を委託しています。また、腸内細菌検査も、調理とコンシェルジュの全スタッフが毎月行っています」

昨年からは、さらにノロウィルス検査も開始している。
安全・安心へのコストに関して、金子は最大の理解者となった。

松本は言う。

「アイ・ケイ・ケイの理念である『お客さまの感動のため』にも、食品事故を起こすわけにはいきません。安全な料理だからこそ、お客さまに安心して食べていただくことができ、感動を味わっていただけるはずです」

取得だけが目的ではなく、さらに高度な安全・安心を追求し続けるチームメンバーとスタッフ。具体的に語れる事実がある。だからこそ、営業スタッフは胸を張ってお客さまに「安全・安心」を語れるようになったという。
実際、アイ・ケイ・ケイの安全・安心を根底にした美味しい料理が決め手となり、結婚式をご成約頂くケースが大幅に増えているのだ。

今後はホテル・婚礼業界初のISO22000を取得した福岡支店と同じ基準で管理レベルの向上を全施設で図っていく方針だ。何よりも安全・安心ありき。そこにどこまで美味しさを追求していけるか。お客さまの感動をより鮮やかに、より深く刻み込むためのチャレンジに終わりはない。

CHAPTER 04 これからが真のスタート。ISO取得が目的ではない。

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